« アンダーバッド急行 | トップページ | SOUND ONLY SELECTED »

2007年7月 1日 (日)

大事なズボン

Photo_300  第12話「死の大金庫」で、ペネロープ邸のディナーに招かれたロンドン銀行頭取のシルトン卿のズボンに悲劇が訪れます。先輩銀行強盗のフィンガーが脱獄したとの報道に落ち着かないパーカーが、お嬢様の「銀行強盗」という言葉にびっくりしてコーヒーのお盆をひっくり返してしまいます。
 ズボンだけでなく手にもコーヒーがかかっていますし、砂糖壷もひっくり返ってべとべとです。淹れたてのコーヒーですから相当な熱さと思いますが、さすがに英国紳士だけあって、あまり取乱したりしません。パーカーに向かって「何をするんだ、失礼な!」と声を荒げるものの、ペネロープ嬢には「どなったりして申し訳ありません。とても熱かったので。」と紳士的です。火傷を心配するよりも銀行からの緊急呼び出しを優先する責任感の強さも持っています。

 アメリカの現職の判事が、ズボンを紛失したクリーニング店に対して66億円もの損害賠償訴訟を起こしたそうです。判決は、もちろん原告敗訴でした。
 ズボン1本の紛失が消費者保護法違反にあたるとして訴訟をおこしたものですが、損害賠償の請求金額が何で66億円なのか理解に苦しみます。訴訟社会のアメリカですが、極めて異例で非常識と批判が出るのは当然です。
 この判事さん、一体何を考えているのでしょうか。敗訴は目に見えているのに、訴訟に踏み切ってしまうのは、常識を超えた何かがあるのでしょう。

 「なぜ日本人は劣化したか(香山リカ 講談社現代新書)」を読みました。文章を読み解く力の劣化、モラルの劣化、生きる力の劣化、社会の劣化、寛容の劣化、知性の劣化など、日本人の劣化の様子を示し、どうしたら防ぐ事が出来るのかについて書かれています。日本人だけでなく、海の向こうの司法の番人にも劣化が起きているのではないかと、ズボン訴訟から感じてしまいます。

 昨夜はダラダラとテレビを観てしまいました。フジテレビ系「世界がもし100人の村だったら5」で、深く狭い穴を掘って金を探す重労働に従事する少年や、ゴミ山で働く少女の日常が紹介されていました。日本の景気が停滞しているとは言っても、子供がこんな風に働かないと家族が生きていけない事はおそらく無いでしょう。世界の人口が66億人に達したそうですが、毎日食事が出来たり、安全な暮らしが出来たり、学校に行ける人はどれくらいいるのでしょうか。
 さらにテレビ朝日系「スマステーション」で、有名人の離婚慰謝料ランキングなるものを見ました。最高額はロシアの大富豪が1兆円以上を支払ったとあり、前述の子供の悲惨な生活とのギャップに頭がおかしくなりそうです。同じ”人間”なのに、なぜこんなに差があるのでしょうか。
 日本テレビ系「世界一受けたい授業」では、携帯電話を溶かして金を取り出す技術が紹介されていました。その中には、エチオピアの少年が過酷な労働をして採掘した金も混じっているかもしれません。世界から輸入される食品など、日本人の生活は外国の人々の労働に支えられているのだと思います。その中には低賃金や、日本では考えられない労働環境もあるでしょう。日本人は、ただお金を出して購入し、それらを享受していれば良いのでしょうか...?

|

« アンダーバッド急行 | トップページ | SOUND ONLY SELECTED »

コメント

そのクリーニングの事件を読みました。
いくらなんでも、ひどいですね。
全米弁護士教会から、除名されるとか。限度がありますよ。

日本もひどいから、どうしょうもないですね。

投稿: ちゃむちゃむ | 2007年7月 2日 (月) 02時15分

ちゃむちゃむさん、コメントありがとうございます。お返事遅れてすいませんでした。
 件のクリーニング店は、韓国系の一家が営むお店のようです。全米に展開しているクリーニングチェーン店ならいざ知らず、どう逆立ちしても66億円も払えるとは思えません。訴える方は何を考えているのか理解に苦しみます。何か余程思い入れがあったのでしょうか?(親の形見のズボンだったとか、愛する女性からプレゼントされた想い出のズボンとか...??)
 理不尽な訴えを起こしてまでも、金を手に入れたいという考えが見えますが、その対極にいるのが記事中でご紹介した少年少女です。お母さんと体の弱い兄、幼い弟の生活を支えるために7歳から金鉱掘りの仕事をしている少年。濁った水を飲んで空腹を紛らわせ、ほんの僅かな休憩に笑顔を見せますが、親方に見つからないか怯えた表情にすぐ戻ってしまいます。
 フィリピンの少女も、父親は殺され、病弱な母親と幼い弟のためにゴミ山でお金になりそうなゴミを集める仕事をしています。下の弟が、以前一度だけ食べた事があるホットドックを、もう一度食べてみたいと言っていました。
 家族のために働いている二人は、家族が宝物で、学校に行くのが夢と話します。同じような境遇の子供は、世界に一体どれ位いるのでしょうか...?

投稿: 雷おやじ | 2007年7月 3日 (火) 23時36分

 ズボン訴訟をおこした判事さんですが、2年間の任期が切れるそうで、再任されずに失職するとの報道がありました。再任されないのも納得できる話ですが、一審で敗訴して上訴中とは驚きました。懲りない人ですね。

投稿: 雷おやじ | 2007年10月24日 (水) 21時27分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170903/15620690

この記事へのトラックバック一覧です: 大事なズボン:

« アンダーバッド急行 | トップページ | SOUND ONLY SELECTED »