« トランスフォーマー | トップページ | 工場萌え »

2007年9月 8日 (土)

トランスフォーマーとアメリカ軍

Photo  映画「トランスフォーマー(マイケル・ベイ監督)」のアメリカ軍について感じたことです。(以下、ややネタバレ注意です。)
 冒頭、中東の駐留基地を襲うトランスフォーマーと戦うアメリカ軍が描かれます。現地の少年と仲の良い陸軍大尉が、小隊を率いる準主役として活躍します。
 基地は全滅しますが、生き延びた小隊が少年の村に辿り着き、少年の父親から携帯電話を借りてペンタゴンと連絡を取ります。応援を要請してA-10攻撃機やガンシップで、サソリ型のトランスフォーマーを撃退します。
 その後、お話はアメリカ本土に移り、人間の味方のトランスフォーマーと協力して敵をやっつけて勝利します。この映画のアメリカ軍は、正義の味方、ハイテク兵器などの強力な軍備と勇気ある兵士、中東の人たちにも受け入れられているといった良いイメージに溢れています。

 「現代の戦争被害 ソマリアからイラクへ(小池政行著 岩波新書)」に、そんな印象とは全く異なったアメリカ軍の現実が描かれています。国連平和維持軍としてソマリアの内戦に赴き、アイディード将軍を拘束する任務に失敗するのは、映画「ブラックホークダウン」でもお馴染みです。米国兵士の死体が冒涜される映像が世界に流れ、アメリカの世論は政府を激しく非難しました。
 これにより「ゼロオプション」と呼ばれる自軍兵士の犠牲ゼロを目指す戦闘方法が取られることになります。その方法はハイテク兵器を活用し、ステルス爆撃機で精密誘導爆弾を敵の拠点に向けて発射する事です。また、国連軍として米軍が活動することを止め、国際社会を無視する単独の軍事行動を取ることも、ソマリア以降のアメリカの方針になっています。
 小池氏は、ゼロオプションとアメリカ単独の軍事行動が、民間人犠牲者を増加させていると指摘しています。ハイテク兵器、ピンポイント爆撃、精密誘導と聞かされると、本当に軍事施設だけを破壊しているように聞こえますが、実際にはピンポイントと呼べるほどの正確さではなく、かなりの誤爆があることはニュースでもよく採り上げられています。
 また、破壊力や非人道性が高いため「特定通常兵器」と呼ばれるクラスター爆弾や、劣化ウランで砲弾の強度を高めた劣化ウラン弾などが使用されています。1発のクラスター爆弾には202個の子爆弾が入っていますが、その子爆弾の10~20%が不発弾であり、地上で対人地雷のような働きをします。劣化ウラン弾は爆発すれば放射能を撒き散らす恐ろしい兵器です。核兵器を作る際に発生する核のゴミを爆弾の材料に使って、相手の国に放射能を平気で撒き散らすのが、今のアメリカ軍のやり方です。
 またイラク人捕虜をアメリカ兵が虐待したことは記憶に新しいですし、アメリカ兵の死者に比べて、イラクの民間人の死亡者数が極端に多い事からも、イラク人の尊厳や命の重さを軽視していることが判ります。
 そんな事を考えると、トランスフォーマーのアメリカ軍の良いイメージも、しぼんでしまいます。CV-22オスプレイや戦闘機がカッコいいと呑気に言っている平和ボケした日本のメカ好きおやじですが、現実にその兵器から爆弾を落とされる国の人から見たら「何がカッコいいんだ!」と怒られそうです。

 さて第21話「にせ者にご注意」に登場するアメリカ海軍の空母から発進する戦闘機です。カタパルトからミサイルのように発射するので滑走路は要りません。
 このアメリカ海軍機ですが、機体にはUN(国連軍)の文字がありますし、アメリカ軍のマークの丸の中の図柄が変わっています。2065年(2026年?)のサンダーバードの世界では、アメリカは単独主義から国際協調の路線に変更したのか、それともアメリカ一国で国連軍を形成しているのでしょうか。

|

« トランスフォーマー | トップページ | 工場萌え »

コメント

雷おやじさん。うーむスルドイ論説。 アメリカ軍だけでなく、各国、兵器の無人化を進めていますね。今にほんとにターミネーター戦争になりそうです。そうなるのはかまいませんが、仰るとおり、機械の精度を上げ、民間人を完全に巻き込まないようにしてほしいですね。 戦争なんてロボット使って月でやってほしいんですよ。

投稿: スタンリーメタボリック | 2007年9月 9日 (日) 00時20分

スタンリーメタボリックさん、コメントありがとうございます。
 「現代の戦争被害 ソマリアからイラクへ(小池政行著 岩波新書)」にも書かれていますが、旧ユーゴなど民族間の紛争では、民間人を含めた”浄化”が行なわれましたし、敵の歴史的文化遺産を破壊することも公然と実施されました。
 ジュネーブ条約や国際人道法をきっちりと守って戦争する国など、おそらくどこにもないでしょう。特にアメリカはダブルスタンダードを打ち立てて強引に推し進める国ですから、自分と同じ事を相手がすれば激しく非難しますし、相手と同じ事を自分がしても問題無いと言い張っています。(それが捕虜の虐待や民間人の被害を助長しています。)
 砂漠の真ん中で正規軍同士が戦うならばまだしも、戦争する場所がそんなケースは稀です。民間人や民家に敵味方識別装置がついているわけではありませんから、民間人の被害が出てしまうのを完全に防ぐのは不可能でしょう。それにしても誤爆や投下後も地雷のように被害が残る爆弾の使用は避けるべきです。(アメリカはクラスター爆弾の禁止問題の国際会議について”交渉開始”を支持するよう方針転換しましたが、現実に禁止に結びつくのは難しそうです。)
 「19世紀の戦争の死者は830万人、20世紀のそれは約1億1000万人である。」と同書にあります。人間が地球に存在するようになってから、いったい幾つ戦争があって、何人が怪我をしたり死んだのでしょうか? もしかしたら人間は殺し合いが好きな生き物なのかもしれませんね。

投稿: 雷おやじ | 2007年9月 9日 (日) 07時45分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170903/16386971

この記事へのトラックバック一覧です: トランスフォーマーとアメリカ軍:

« トランスフォーマー | トップページ | 工場萌え »