« ツキを呼ぶ魔法の言葉 | トップページ | THE ハプスブルク »

2009年11月24日 (火)

地球SOS

Chikyuu  小松崎茂さんの絵物語に惹かれて、代表作である「超特作科学冒険物語 地球SOS(双葉社)」を借りました。
 昭和23年(1948年)に「冒険活劇文庫」10月号でスタートし、昭和26年(1951年)10月号の第38回で中断、3ヵ月後の昭和27年(1952年)に「おもしろブック」新年増刊号で”科学・えものがたり地球SOS「宇宙艦隊」”として掲載されたのを最後に、完結されぬまま終わってしまった作品です。
 今から半世紀以上前の作品であり、子供向けの読み物ですから、現在の大人の目からすれば多少の物足りなさを感じてしまいますが、戦後の復興期という状況の中、子供たちに夢と希望を与えようとペンを振るった小松崎氏の情熱が伝わってきます。
 バグア彗星人は蟻や蜂をモチーフにしているようですが、小生の目にはカッパや、ゲームのピポサルに似ているように見えます。サルのような姿の敵と言えば、第二次世界大戦でアメリカ軍が日本兵を猿に見立てていたのを連想します。アメリカと日本の少年が力を合わせて、強大なバグア彗星人と戦う物語ですが、ソビエトとの核戦争の恐怖など、当時の世界情勢が反映されていたのかもしれません。

 「マンガ名作講義(情報センター出版局)」に「地球SOS」が紹介されていました。(評論家:平岡正明)
 「科学の発展-生産力向上-地球市民、そしてその平和を脅かす宇宙からの侵略者への自己犠牲的な戦いという『地球SOS』の主題は、戦争絵巻作家小松崎茂の太平洋戦争総括だった。」
 
当時の少年誌についていたおどろくほど大量の付録にからめ、「第一付録というのが別冊漫画であり、第二付録というのが、紙製グライダーやら回り灯籠といったものだった。それらチープなアイデアのチープな過剰さは敗戦ショックを抜けようとするもがきであった。『地球SOS』ももがきだったろう。『神国日本』が欧米の物量に破れたショックと、朝鮮戦争による空想科学も追いつけない兵器の開発への。そして散華の美学では追いつけない戦後社会の肥大の前に作者は筆を断ったのだろう。」と評しています。

 人類を抹殺し地球を奪い、地球そのものを自分たちの彗星に変えて、果てしない宇宙の旅の道具にしようとするバグア彗星人。そんな圧倒的な敵に、人類は驚くほどの科学的進歩と兵器開発を進めて対抗します。物語は月の裏側で反撃に出る場面で終わってしまいましたが、その後はどのように展開するのでしょうか。
 バグア人が勝利するのは読者の反感を買いそうで避けたいところでしょうし、血で血を洗う戦いの末に地球人類が勝利するのも虚しさが残ります。それまでの流れからすれば和解は難しそうですが、バグア人が地球を諦めて去っていく道は無いのでしょうか。

|

« ツキを呼ぶ魔法の言葉 | トップページ | THE ハプスブルク »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170903/46827148

この記事へのトラックバック一覧です: 地球SOS:

« ツキを呼ぶ魔法の言葉 | トップページ | THE ハプスブルク »