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2009年11月 7日 (土)

サイドウェイズ

1993  映画「サイドウェイズ(チェリン・グラック監督)」を観ました。2005年のハリウッド版を日本人俳優によりリメイクした作品です。オリジナル版をうまく日本人に置き換えた、なかなか上出来の映画でした。
 オリジナル版もまた観てみたくなったところ、深夜のTVで放映されましたので録画しておきました。
 二つの作品を比べると、オリジナル版の方が中年男二人の駄目っぷりが悲惨で、こんなにひどい話だったかのかと感じました。リメイク版の方がまだ救いがありますし、笑える場面が多かったように思います。

 4年前に観た時の感想メモ(駄文とも呼ぶ)を以下に記します。

鑑賞日 2005年4月3日(TOHOシネマズ小田原 スクリーン7)
 ワイン好きにはたまらん映画でしょう。かく言う小生も世間一般の方よりはワインを飲む機会が多いと言うか、晩酌は殆どワインです。残念ながら鼻の効きが悪いし舌が肥えていないので、香りがどうとか味がどうというような薀蓄を語る術を持ってはいません。そのため、この映画の主人公が情熱をもってワインを語る姿に憧れを抱いたりもするし、本当にそんなに判るのかいと疑いの目を持ったりもするのです。
 序盤に母親の引き出しから金を盗む姿に、ただ落ちぶれているだけでなくモラルも欠如している主人公に腹が立ちました。そんな男にワインを語る資格があるのかと。しかも教師じゃないですか。母親の誕生日にかこつけて、計画的に金を盗もうとして立ち寄ったのは明らか。性的なモラルに欠けた友人よりは少しはましな程度で、素直には感情移入しがたいものがありました。
 まあ、問題を抱えた主人公の再生がテーマですから、あまり怒ってもしょうがないです。終盤で登場する美しくて理知的な妻との離婚から2年。いまだにその傷を引きずっている。結婚10年目のためにとっておいた特別な61年物(小生の誕生年)のワインがむなしい。離婚の理由は彼の浮気らしいし、自業自得。800ページ近い小説を書いても出版社には売れないし、元妻は再婚して妊娠までしている。いい関係になったワイン通のマヤとは、性的に破綻した友人のおかげで喧嘩別れとあってもう最悪。おまけに、どこまでも自己中心的な友人に、自動車事故を偽装するため愛車を壊されるしまつ。もう踏んだりけったりの1週間。
 結局そんな彼を救ったのは、喧嘩別れする前に渡しておいた原稿をマヤが読んだこと。結末が支離滅裂という批評があったものの、いい話だと語る彼女。彼との関係をもう一度考え直して電話をくれた。そのメッセージに希望を託して、彼女の元におんぼろの車を走らせる。彼女の家のドアをノックするシーンで物語りは唐突に終わる。暖かい希望と余韻が残る小品。
 アカデミー賞の助演男優賞・女優賞にノミネートされたものの、脚色賞のみに留まった。美しく聡明なヴァージニア・マドセンもよかったけれど、ケイト・ブランシェットに軍配が上がりました。アビエイターはまだ観ていないので比較はできないけれど、賞云々よりも作品の好感度は残ります。若いころの彼女は、プロデューサー好みの金髪美女として添え物的な役が多かったように思うけれど、歳を重ねて深みのある役が似合う人になっていたんですね。この美女の兄さんがあのマイケル・マドセンとは想像がつかないのですが。
 ポール・ジアマッティは、普通のハリウッド映画だったら主役を飾れるような俳優さんでは無いと思うのですが、実に味のある演技を見せます。監督があのアバウトシュミットのアレクサンダー・ペインだったのね。独特の味わいのある仕上がりが両作品に共通している。
 しかしまあ、あちらの国の人って結婚前なのに性的なモラルがここまで欠如していて良いんでしょうか? トム・ハンクスのバチェラーパーティーなんかで、結婚前夜に羽目を外す新郎の姿が描かれていたけれど、そのような習慣があるのでしょうか? 数日後に永遠の愛を誓おうとしてるのに、どうしてこんな事が出来るのか不思議です。
 マヤの友人のステファニーは韓国系女優のサンドラ・オー。けっこう色んな映画に出てるのね。パンフにはこの映画の監督アレクサンダー・ペインの妻となっていて驚きです。遊び相手にされたと知った彼女がバイクのヘルメットでジャックをコテンパンに殴りつけるシーンは迫力ありましたが、溜飲が下がりました。
 それでも懲りないジャックはもう手当たりしだいという感じで、最後の相手なんかFUCK出来れば誰とでもいいって感じでした。そこまでして彼を駆り立てるものは何なのか。この衝動はお前には判らないなんて台詞もあるけれど、結婚指輪の入った財布を置き忘れて、クリスティーンを失ったら生きていけないなんて泣き言を言う矛盾。いったい何を考えているのか。まあこんなロクデモない男と結婚を決めたクリスティーンも、もう少し良く考えて欲しかったものです。
 このとんでもない友人を演じたトーマス・ヘイデン・チャーチがアカデミー助演男優賞にノミネートされたとは。どうせならポール・ジアマッティを主演男優賞候補にノミネートしてほしかったりして。まあ受賞はジェイミー・フォックスに変わりはないけれど。(何せあのジョニー・ディップですら太刀打ちできなかったんですから。)
 あんないい加減なジャックも、結婚すれば案外まともになるかもしれない。年貢の納め時とか自分の馬鹿さ加減を改めて反省するとか。まあ、あまり期待は出来ないけれど。 このどこまでも自己中心的でいい加減なキャラクターと正反対のマイルスという主人公。彼が引きずっている過去は、自業自得とはいえ重いものがある。
 大学時代からの友人というだけでなく、正反対ゆえに引き合うものがあるのでしょう。魅力的な女性からのアプローチにも尻込みしてしまうし、再婚した元妻にも未練たっぷりで抜け出せない。普通だったらここまで風采の上がらない中年男が、こんな美女から誘いを受けることなんてまず無いでしょう。
 マヤのほうも、元夫のワインに対する底の浅さに幻滅して離婚した過去を持っている。それだけにマイルスのワインに対する造詣の深さに惹かれるものがあったのでしょう。彼女の存在こそがこの物語の救い。園芸学を学んで、いずれはワイナリーを持とうという夢。ラストで彼女の部屋のドアをノックするマイルス。二人の仲が修復されて、二人でワイナリーを作っていくなんて展開を想像する楽しみもあります。
 いつも1000円以下のワインしか飲まない(飲めない)小生ですが、パンフレットのワインリストに載っているものにも手を伸ばしてみたくなるし、カリフォルニアのワイナリー探訪なんていうのも興味が前からあった小生には、やはりたまらない映画です。
 61年物の記念のワインを、あんなファーストフード店なんかで隠れて飲み干すより、もう少しマヤのメッセージが早ければ彼女と飲めたのにねー。残念でした。61年という設定には意味があるのでしょうか? 監督の生まれ年だから? しかもその大事なワインは、パンフによればマイルスが嫌いなメルローと偉大なワインは生まれないという評価をしているカベルネフランのミックスじゃないですか。
 アメリカ人の飲酒運転に対する意識について、映画を見るたびに疑問に感じてしまう。警官が主人公の映画でも、バーで仲間と飲んで運転して帰るシーンをよく目にする。この映画でもワインの試飲を繰り返しているのに運転している。いくらアメリカでも、飲酒運転が許容されているとは思えないけれど。


 
 最近は晩酌を止めているのでワインを飲む機会も減ったのですが、この映画を観たおかげでまたワインを飲みたくなりました。ボジョレーの解禁も近い事ですし。
 サンダーバードにはお酒の場面がいくつかありますが、さすがにカリフォルニアワインは登場しないようです。第29話「恐怖の空中ファッションショー」のラストに登場する、1993年物のシャンパンのボトルのイラストを代わりに描いてみました。

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