2013年4月 8日 (月)

ひまわり

 沼津市内の映画館で、語り継ぎたい映画シリーズvol.2「ひまわり(ビットリオ・デ・シーカ監督/1970年)」を観ました。パンフレットに「1980年にリバイバル上映されてから30年目に35mmニュープリント&デジタルリマスター版で上映」とありますので、他の地域では数年前に上映されていたのでしょう。このほかにも「いちご白書(スチュアート・ハグマン監督/1970年)」「眺めのいい部屋(ジェームズ・アイヴォリー監督/1985年)」「アナザー・カントリー(マレク・カニエフスカ監督/1984年)」がありますが、いずれも上映終了です。料金はサービス価格の1000円でした。

 「ひまわり」はTVの洋画劇場で何度か観た記憶があるのですが、映画館で上映するとなればやはり観たくなります。お話はご存じの通り、第二次世界大戦で引き裂かれたイタリア人夫婦の再会と別れです。ヘンリー・マンシーニのテーマ曲はどなたも耳にしたことがあると思います。

 回想場面で描かれるミラノ男とナポリ女の出会いと結婚、短い新婚生活、兵役を逃れるための狂言がばれて東部戦線送りになるのはイタリアのコメディ映画のようです。
 赤旗が翻る雪のロシアの場面は、交戦シーンはありませんがソ連軍の圧倒的な勝利とイタリア軍の敗走を重苦しく描きます。ソ連軍が大砲を撃つ場面はありましたがT-34などの戦車は映らなかったように思います。その他には、ソ連とイタリアの冬の戦闘装備の違いを表現するためか、武装スノーモービル(RF-8/Gaz-98)の記録映像が出てきました。これは、TVアニメ「ガールズ&パンツアー」で、プラウダ高校の隊長カチューシャがベッド代わりに使っていたものなので、興味深く見入ってしまいました。(第二次大戦で使用された戦車を用いる「戦車道」という女子高校生の部活を描いたアニメです。)

 さて、この映画は1970年の作品ですが、年代の設定がよくわかりません。二人の結婚と出兵は1941年頃と思います。イタリア軍の敗走とアントニオがマーシャに助けられるのが、ニコラエフカの戦いとすれば1943年でしょう。戦争の終結が1945年で、イタリア兵の帰還が数年かかったとして、ジョヴァンナはいつごろソ連を訪れたのでしょうか。
 彼女のセリフに「スターリンは死んだのよ!」とありますので1953年3月以降ですが、指導者の死の直後では国内も混乱しているでしょうし、そもそもソ連への入国のハードルはかなり高いはずです。終戦から10年以上が経過して、ようやくソ連を訪れることが出来たのだと思います。

 電撃結婚から10日ほどの新婚生活をしただけの彼女が、10年以上もアントニオが生きていると確信し続けられたのはなぜなのか、映画を観ながら考えてしまいました。旅費もかなりかかるでしょうし、戦友から聞いたドン河という地名だけを頼りに乗り込むのはかなり無謀な話です。アントニオが生きていると信じることが、彼女にとってたった一つの心の支えだったのだと思います。

 もうひとつ疑問だったのが、ロシア娘マーシャがなぜ敵兵のアントニオを助けたのかです。リュドミラ・サベリーエワ演じるマーシャは、お下げ髪をした少女という設定に見えましたが、死にかけの男を雪の上とはいえ引きずって行くのは大変な事です。たくさんの兵士が凍死しているか死にかかっていたはずですが、彼女はなぜアントニオを選んだのでしょうか。彼ひとりだけが生きていたのでしょうか。その他の住民も同じように助けに向かっていたのでしょうか。

 はっきりしたことは判りませんが、ドン河という地名から、スターリングラード(ヴォルゴグラード)周辺が戦闘の舞台だったと考えられます。ウィキペディアに「戦前は60万を数えたスターリングラードの住民は、わずか9796名に激減していた。」との記載があり、マーシャの村では男手が極端に不足していたことが考えられます。敵兵とはいえ人命救助のためだけにマーシャが力を尽くしたとあれば美談ですが、男手の確保という一面もあったのではないかと想像します。命が助かっても、ソ連軍に拘束される恐れはなかったのでしょうか。下手をすれば殺されていたかもしれません。

 アントニオの記憶は一時的に喪失していたようですが、しだいに回復したのでしょう。そのころにはマーシャへの感謝と愛情も芽生えていたことでしょうし、イタリアへの帰国も簡単に認められない状況だったのかもしれません。ジョヴァンナへの想いが消えたとは思えませんが、記憶の隅に押しやっていたのかもしれません。

 
 すべてを悟ったジョヴァンナが帰国したのち、アントニオたちはモスクワらしき都会へ引っ越します。このあたりの時間的な経過もよくわかりません。ジョヴァンナへの想いを断ち切るために、マーシャが望んだことなのでしょうが、知人も同じアパートに越してきたようなので、集団的な移転だったのかもしれません。
 引っ越しをしても彼が虚ろなままなのを悲しむマーシャですが、アントニオを信じているからこそ彼にイタリア行きを勧めたのでしょう。幼い娘カチューシャもいることですし。(彼女があまり成長していない様子からすると、時間的な経過はそれほど長くなかったのかもしれません。)

 ミラノでジョヴァンナと再会し、彼女もまた別の人生を歩んでいることを知るアントニオ。彼女に子供がいることからも、ジョヴァンナの帰国から数年が経過しています。。(再婚相手の連れ子という設定ではないでしょうし。) 彼が旅行を申請してからすぐには許可されなかったことも考えられます

 これらの時間的な経過を考えると、出兵による別れから約15年後のソ連での再会、さらに数年後にミラノで再会となると1960年頃になります。終戦から15年。あまりにも長く続いた苦しみ。戦争が与える悲劇を観る者に訴えます。

 若いころ映画のサントラLPを集めていました。数は少ないですが、その中に「ひまわり」がありましたので、30年ぶり(?)に聴いてみました。哀しみを湛えながらも美しいテーマ曲は有名ですが、ラストのミラノ駅の場面では驚かされました。出兵の際ふたりが別れたのと同じ駅のホームにジョヴァンナを残し、アントニオが永遠に去って行きます。最後まで美しい曲のまま終わると思っていたのに、突き放すかのようなエンディングに哀しみが幾重にも深くなりました。

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 さて、サンダーバードにひまわりは登場するのか? あれこれ探してみましたが、この場面の後ろに映っている黄色い花がそうかもしれないという程度しか判りませんでした。

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2012年3月28日 (水)

マーガレット・サッチャー 

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「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙(フィリダ・ロイド監督)」を観ました。メリル・ストリープのアカデミー主演女優賞も納得の演技でした。
 この映画で印象に残ったセリフ「思考が行動につながり、行動が習慣になる。習慣が性格を形成し、性格が運命につながる。」(セリフは違うかもしれませんが、趣旨はこんな感じです。)
 日々、流されてしまいがちな小生ですが、自分で考えて行動に移すことで、運命すら変えることが出来ると教えられる言葉でした。

 なぜこの話題にブレインズのイラストなのかと言いますと、サッチャーさんのご亭主デニス・サッチャーさんの若いころを演じたハリー・ロイドさんが、何となく似ているかなーと無理やり妄想した結果でした...。

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2011年8月24日 (水)

コクリコ坂から

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 先日、家族で映画「コクリコ坂から(宮崎吾朗監督)」を観ました。最初は、いつごろの話なんだろうかとか、主人公の女の子の名前は海なのに何であだ名がメルなのかとか、そもそもお母さんはどこに行っちゃってるのとか頭にひっかかってしまい、何か説明不足な映画だと思っていました。
 メルは高校2年生ですが、下宿を切り盛りしながら高校で勉学に励むしっかり者です。部室の集合体のような「カルチェラタン」の取り壊し騒動で出会った先輩との初恋や、出生の秘密などのエピソードがが爽やかに描かれています。ジブリ作品となれば、ファンタジーやメカが登場するものを連想しますが、「コクリコ坂から」は純粋な青春ドラマでした。

 さて、レイトショーの時間に行ったのですが、券売機に色々なボタンがあり、どの券を買ったらよいのかわかりません。上映時間が迫り焦ってしまいましたが、よく見ると「シニア料金」というボタンがありました。夫婦どちらかが50歳以上の場合、二人で2000円というものです。若い頃は、年寄りになると映画を安く観ることが出来ていいなーなどと思っていましたが、自分がこの料金に該当することに今更ながら驚いてしまいました。
 それにしても「シニア」と呼ばれるにはいささか抵抗があります。自分は未だに未熟な人間なので、シニアと呼ばれるような歳に思えません。町内でも50代ではまだまだ若造ですし。

 サンダーバードのジェフ・トレーシーのような、素敵な”おじ様”になれる日を夢想する雷おやじでした。

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2009年12月28日 (月)

南極料理人

Photo  今月初めに映画「南極料理人(沖田修一監督/2009年)」を鑑賞し、非常に面白かったので、原作の「面白南極料理人(西村 淳/新潮文庫)」、「面白南極料理人 笑う食卓(西村 淳/新潮文庫)」を読みました。
 1997年、南極の沿岸部にある昭和基地から約1000kmも離れ、富士山よりも高い3800mの標高に位置し、平均気温マイナス54℃のドームふじ基地で越冬する8人の観測隊員のお話です。
 映画「ホワイトアウト(ドミニク・セナ監督)」の舞台であるアメリカのアムンゼン・スコット基地は、南極点付近に位置していますが、連日輸送機で物資を運ぶ資金力と機動力、物量作戦で快適な観測生活を営んでいるようです。
 それに比べてこの映画のドームふじ基地は凄い落差を感じさせる代物でした。かの映画では、ケイト・ベッキンセール嬢が広々とした個室でシャワーを浴びる場面がありました。それに対してドームふじ基地の水は、全員が毎日苦労して造水槽に投入した雪を、発電機の熱で溶かした貴重なものです。節水のためには”ハリウッドシャワー”などとても出来ません。サボり癖のある隊員が造水も手伝わず、みんなが外で働いている隙にお湯を使い放題でシャワーを浴びているのを見つかって大騒動になる場面は笑えます。
 各隊員が就寝する個室も僅か2畳のスペースで、原作本によれば一番奥の部屋だった西村氏は、就寝中に酸欠で苦しくなり調理場で寝ることが多かったとか。アムンゼン・スコット基地の部屋を見たら卒倒しそうです。
 逃げ場の無い南極の奥地で、1年間もおっさん同士が寄り集まって生活するのは、かなりのストレスだと思います。よくやっていけたものと感心しますが、映画ではこの人たち本当に観測隊員なのかしらんと思うほど遊んでばかりいます。そのような場面ばかりピックアップしてあるとは思いますが、それにしても日本の南極観測は大丈夫か?と誤解しそうです。連日の酒盛り、機会あるごとにパーティーを開催、雪原で野球、体力が有り余っているドクターは裸で自転車走など、どのエピソードも笑えます。
 映画では堺 雅人さんが主人公の西村料理人を演じています。この人だけがまともなキャラクターで、ほかの7人はしょーも無いオヤジ(青年もいますが。)連中ですが、原作本を読んで驚きました。この西村氏が一番ぶっ飛んでいる人物じゃないですか。
 共演者もいい味出してます。西村氏の目を盗んでこっそり夜食にラーメンを食べていたタイチョー(きたろう)が、ついにラーメンが底を尽き、もうラーメンを食べる事が出来ないと知ったときの涙ながらの台詞(「西村くん、僕の体はね、ラーメンで出来ているんだよ....。」)には大笑いしそうになりました。雪氷学者の本さんを演じた生瀬勝久さんは、「20世紀少年」「ヤッターマン」「サイドウェイズ」と、どんなキャラクターでも演じてしまう人です。
 出てくる料理がまた、本当に南極の奥地でこんな料理をつくっていたのかと思うほど、美味しそうな物ばかりです。伊勢海老のエビフライは迫力満点でしたが、かん水の代用にベーキングパウダーを使用したラーメンが一番おいしそうでした。

 この「南極料理人」、原作本にサンダーバードがちょっとだけ登場します。燃料庫にある軽油の在庫が残り僅かとなり、建物から150m離れた備蓄場所から運び込むのに使用したい雪上車が、越冬前の準備漏れにより使用不能状態だったことから、危機的状況に陥ってしまった時のこと。
 「サンダーバードを呼んでそりを引っ張ってもらう」と私が提案した寒い冗談は、白い目と冷たい視線の嵐を浴びて笑いを誘うこともなく寂しく撤退。
 
この西村氏、シドニーで「サインしてやるべ」と話しかけてきた男が、「マトリックス」を撮影中のキアヌー・リーヴスと知らずに「ノーサンキュー」と断ったそうで、どこまでも面白い人物です。

 さて、サンダーバードで料理人と言えばキラノ氏です。トレーシーファミリーの胃袋を満たすだけでなく、ハウスキーピングもこなしている事でしょう。一人では大変ですから、オートメーション化されている部分もあるのかもしれません。

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2009年12月 2日 (水)

2012

Photo  映画「2012(ローランド・エメリッヒ監督)」を観ました。以下、映画をご覧になる予定の方はネタバレにご注意ください。
 エメリッヒ監督といえばディザスター・ムービーですが、今回も地球をめちゃくちゃにしてくれます。「大地震」「ポセイドン・アドベンチャー」「ボルケーノ」「ダンテズピーク」「ザ・コア」「ディープ・インパクト」「アルマゲドン」「デイ・アフター・トゥモロー」などなど、ありとあらゆる災害場面を集大成したような映画でした。
 ニコラス・ケイジ主演「ノウイング(アレックス・プロヤス監督)」の公開当時に「2012」の予告編を見たときは、現実の災害現場にいるような「ノウイング」の臨場感と異なり、崩壊するビル群をかいくぐってアクロバット飛行する小型機の場面に興ざめした記憶があります。
 ジョン・キューザック演じる主人公の一家が、各国政府が協力して極秘に建造した方舟目指して困難な旅をするのが物語の軸になっています。いくら撃たれても弾が当らないシュワちゃんならわかりますが、ごく普通の一般人があの危機を何度も生き延びられるとはとても思えません。(その点はやや興ざめしてしまうのですが、全体の評価を大きく下げるものではありません。)
 現実に地球規模で地殻の大変動や巨大津波、磁極の反転が起きるのが判ったとしたら、世界の指導者たちが取る方策はこの映画のようになるかもしれません。60数億人全員の命を救う事は到底困難ですし、種の保存ために限られた人数しか方舟に乗れないことは仕方がないでしょう。建造費を捻出するために、大富豪に乗船券を売るのも致し方ないことと思います。乗客全員がそのような大富豪という訳ではありませんし。
 ブラジルのキリスト像やバチカンが崩壊したり、犬を連れて方舟に乗り込むどこかの島国の女王陛下と、ホワイトハウスに残って世界に真実を伝える黒人大統領の対比など、一部の観客から反感を買いそうな場面がありました。
 ラストは「デイ・アフター・トゥモロー」のように希望が残された形で終わります。それでも、生き残った人々には多くの困難が待ち受けていることでしょう。資源も食料も底を尽くのは時間の問題です。あれだけの噴火があったのですから、世界中の火山から大気中に噴出した火山灰が地球を寒冷化させる恐れもあります。
 世界がひっくり返ってしまったのですから、国家元首も政治家も大金持ちも一般人も、生き残った人の全てが平等なはずです。国という意味さえありません。あるのは元アメリカ人だったり、元○○人だったということだけです。こんな状況になっても、人類は出身国同士の対立をしていくのでしょうか?

 さて、「2012」では建物すれすれに飛行機が飛ぶ場面が何度もあります。サンダーバードでは第13話「火星人の来襲」でフッドが操縦するセスナ機が故障し、黒幕X将軍の家に突っ込んでしまいます。フッド氏は大怪我もせずに済みますが、ジョン・キューザック演じる主人公並みの強運の持ち主と言えそうです。

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2009年11月 7日 (土)

サイドウェイズ

1993  映画「サイドウェイズ(チェリン・グラック監督)」を観ました。2005年のハリウッド版を日本人俳優によりリメイクした作品です。オリジナル版をうまく日本人に置き換えた、なかなか上出来の映画でした。
 オリジナル版もまた観てみたくなったところ、深夜のTVで放映されましたので録画しておきました。
 二つの作品を比べると、オリジナル版の方が中年男二人の駄目っぷりが悲惨で、こんなにひどい話だったかのかと感じました。リメイク版の方がまだ救いがありますし、笑える場面が多かったように思います。

 4年前に観た時の感想メモ(駄文とも呼ぶ)を以下に記します。

鑑賞日 2005年4月3日(TOHOシネマズ小田原 スクリーン7)
 ワイン好きにはたまらん映画でしょう。かく言う小生も世間一般の方よりはワインを飲む機会が多いと言うか、晩酌は殆どワインです。残念ながら鼻の効きが悪いし舌が肥えていないので、香りがどうとか味がどうというような薀蓄を語る術を持ってはいません。そのため、この映画の主人公が情熱をもってワインを語る姿に憧れを抱いたりもするし、本当にそんなに判るのかいと疑いの目を持ったりもするのです。
 序盤に母親の引き出しから金を盗む姿に、ただ落ちぶれているだけでなくモラルも欠如している主人公に腹が立ちました。そんな男にワインを語る資格があるのかと。しかも教師じゃないですか。母親の誕生日にかこつけて、計画的に金を盗もうとして立ち寄ったのは明らか。性的なモラルに欠けた友人よりは少しはましな程度で、素直には感情移入しがたいものがありました。
 まあ、問題を抱えた主人公の再生がテーマですから、あまり怒ってもしょうがないです。終盤で登場する美しくて理知的な妻との離婚から2年。いまだにその傷を引きずっている。結婚10年目のためにとっておいた特別な61年物(小生の誕生年)のワインがむなしい。離婚の理由は彼の浮気らしいし、自業自得。800ページ近い小説を書いても出版社には売れないし、元妻は再婚して妊娠までしている。いい関係になったワイン通のマヤとは、性的に破綻した友人のおかげで喧嘩別れとあってもう最悪。おまけに、どこまでも自己中心的な友人に、自動車事故を偽装するため愛車を壊されるしまつ。もう踏んだりけったりの1週間。
 結局そんな彼を救ったのは、喧嘩別れする前に渡しておいた原稿をマヤが読んだこと。結末が支離滅裂という批評があったものの、いい話だと語る彼女。彼との関係をもう一度考え直して電話をくれた。そのメッセージに希望を託して、彼女の元におんぼろの車を走らせる。彼女の家のドアをノックするシーンで物語りは唐突に終わる。暖かい希望と余韻が残る小品。
 アカデミー賞の助演男優賞・女優賞にノミネートされたものの、脚色賞のみに留まった。美しく聡明なヴァージニア・マドセンもよかったけれど、ケイト・ブランシェットに軍配が上がりました。アビエイターはまだ観ていないので比較はできないけれど、賞云々よりも作品の好感度は残ります。若いころの彼女は、プロデューサー好みの金髪美女として添え物的な役が多かったように思うけれど、歳を重ねて深みのある役が似合う人になっていたんですね。この美女の兄さんがあのマイケル・マドセンとは想像がつかないのですが。
 ポール・ジアマッティは、普通のハリウッド映画だったら主役を飾れるような俳優さんでは無いと思うのですが、実に味のある演技を見せます。監督があのアバウトシュミットのアレクサンダー・ペインだったのね。独特の味わいのある仕上がりが両作品に共通している。
 しかしまあ、あちらの国の人って結婚前なのに性的なモラルがここまで欠如していて良いんでしょうか? トム・ハンクスのバチェラーパーティーなんかで、結婚前夜に羽目を外す新郎の姿が描かれていたけれど、そのような習慣があるのでしょうか? 数日後に永遠の愛を誓おうとしてるのに、どうしてこんな事が出来るのか不思議です。
 マヤの友人のステファニーは韓国系女優のサンドラ・オー。けっこう色んな映画に出てるのね。パンフにはこの映画の監督アレクサンダー・ペインの妻となっていて驚きです。遊び相手にされたと知った彼女がバイクのヘルメットでジャックをコテンパンに殴りつけるシーンは迫力ありましたが、溜飲が下がりました。
 それでも懲りないジャックはもう手当たりしだいという感じで、最後の相手なんかFUCK出来れば誰とでもいいって感じでした。そこまでして彼を駆り立てるものは何なのか。この衝動はお前には判らないなんて台詞もあるけれど、結婚指輪の入った財布を置き忘れて、クリスティーンを失ったら生きていけないなんて泣き言を言う矛盾。いったい何を考えているのか。まあこんなロクデモない男と結婚を決めたクリスティーンも、もう少し良く考えて欲しかったものです。
 このとんでもない友人を演じたトーマス・ヘイデン・チャーチがアカデミー助演男優賞にノミネートされたとは。どうせならポール・ジアマッティを主演男優賞候補にノミネートしてほしかったりして。まあ受賞はジェイミー・フォックスに変わりはないけれど。(何せあのジョニー・ディップですら太刀打ちできなかったんですから。)
 あんないい加減なジャックも、結婚すれば案外まともになるかもしれない。年貢の納め時とか自分の馬鹿さ加減を改めて反省するとか。まあ、あまり期待は出来ないけれど。 このどこまでも自己中心的でいい加減なキャラクターと正反対のマイルスという主人公。彼が引きずっている過去は、自業自得とはいえ重いものがある。
 大学時代からの友人というだけでなく、正反対ゆえに引き合うものがあるのでしょう。魅力的な女性からのアプローチにも尻込みしてしまうし、再婚した元妻にも未練たっぷりで抜け出せない。普通だったらここまで風采の上がらない中年男が、こんな美女から誘いを受けることなんてまず無いでしょう。
 マヤのほうも、元夫のワインに対する底の浅さに幻滅して離婚した過去を持っている。それだけにマイルスのワインに対する造詣の深さに惹かれるものがあったのでしょう。彼女の存在こそがこの物語の救い。園芸学を学んで、いずれはワイナリーを持とうという夢。ラストで彼女の部屋のドアをノックするマイルス。二人の仲が修復されて、二人でワイナリーを作っていくなんて展開を想像する楽しみもあります。
 いつも1000円以下のワインしか飲まない(飲めない)小生ですが、パンフレットのワインリストに載っているものにも手を伸ばしてみたくなるし、カリフォルニアのワイナリー探訪なんていうのも興味が前からあった小生には、やはりたまらない映画です。
 61年物の記念のワインを、あんなファーストフード店なんかで隠れて飲み干すより、もう少しマヤのメッセージが早ければ彼女と飲めたのにねー。残念でした。61年という設定には意味があるのでしょうか? 監督の生まれ年だから? しかもその大事なワインは、パンフによればマイルスが嫌いなメルローと偉大なワインは生まれないという評価をしているカベルネフランのミックスじゃないですか。
 アメリカ人の飲酒運転に対する意識について、映画を見るたびに疑問に感じてしまう。警官が主人公の映画でも、バーで仲間と飲んで運転して帰るシーンをよく目にする。この映画でもワインの試飲を繰り返しているのに運転している。いくらアメリカでも、飲酒運転が許容されているとは思えないけれど。


 
 最近は晩酌を止めているのでワインを飲む機会も減ったのですが、この映画を観たおかげでまたワインを飲みたくなりました。ボジョレーの解禁も近い事ですし。
 サンダーバードにはお酒の場面がいくつかありますが、さすがにカリフォルニアワインは登場しないようです。第29話「恐怖の空中ファッションショー」のラストに登場する、1993年物のシャンパンのボトルのイラストを代わりに描いてみました。

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2009年8月30日 (日)

3号がちょっとだけ出演!

Photo_2  本格科学冒険映画「20世紀少年-最終章-ぼくらの旗」を観ました。
 これで三部作も終了し、原作漫画を読んでいない小生にも、ようやく謎が解けました。20巻以上のコミックスを三部作にまとめ上げるのは大変な作業ですし、削らなければならないエピソードも多かった事でしょう。映画では語られなかった部分を知るためにも、原作を読んでみたくなります。
 さて、「-第二章-最後の希望」では、”ともだち”の部屋を復元した「ともだち博物館」の場面にサンダーバード2号の模型が映っていましたが、今回もサンダーバードがちょっとだけ登場します。
 大阪万博当時の場面で、少年時代の”ともだち”の机の上にサンダーバード3号の赤い模型が立ててありました。この3号、高さが25cmほどありそうでした。
 「サンダーバード・プラモデル大全(伊藤秀明・柿沼秀樹/編 双葉社)」で確認したところ、1970年当時に発売されていた3号のプラモデルは、イマイが「電動TB5号」の付属だった3号を1967年に単体発売した、全高115mmのものでした。次に発売されたのが1972年、全高205mmのバンダイ製ですから、時代考証(?)という点からすれば、この場面に登場するのはおかしい事になります。
 以上の点からも、この場面で使用されたのは恐らくタイトーの「サンダーバード・スーパーメカニックス」の3号か、1998年発売のイマイ1/250レジン製TB3号(全長240mm)と思われます。

 サンダーバードのファンで、これから映画をご覧になる方は、机の上の赤い3号をぜひチェックしてみて下さい。

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2009年6月15日 (月)

サンダーバード実写版

Photo_2  先日、「サンダーバード実写版(ジョナサン・フレイクス監督 2004年)」の中古DVDを購入しました。
 クラッシック版のファンにとっては、期待を大きく裏切る実写化作品だったのはご記憶のことと思います。

 劇場鑑賞時のメモを抜粋します。(駄文で、しかも長文です。ご容赦ください。)
2004年8月18日(1回目鑑賞時)
 何と評したらよいものか?? 監督が新スタトレシリーズのライカー副長兼、スタトレ劇場版の監督でもあるジョナサン・フレイクスというのに一抹の不安があったのは事実。そもそもこの監督、DVDで観るまでオリジナルのサンダーバードの存在を知らなかったと言うほどの御仁です。DVDを観て家族共々はまったとパンフに書いてありますが、このような人に監督をさせること自体が無謀に思えます。
 主要メカは概ね受け入れやすいデザイン。1号は現代的にかっこよくなっています。2号の変更はぎりぎり許容範囲か。3号はTV版と殆ど同じでストレス無し。4号の大幅変更はクラッシック版の面影も無く、何とも言い難い。一番違和感があるのが5号。雰囲気が変わりすぎのうえ、フッドのミサイルで外周のループが破壊されて形無しです。
 最悪なのはレスキューメカたち。モールは現代のトンネル掘削機みたいなのはわかるとしても、TV版でも人気があるファイヤーフライが、ただのブルドーザーになっているのは残念です。しかもティンティンが消火液を悪人に浴びせかけて、子供のおもちゃになっています。サンダーライザーは実写版のニューメカですが、なんだかTV版のポセイドン(「魅惑のメロディ」に登場するアメリカの秘密兵器で、最後まで詳細が明らかにされなかった兵器。)に似ています。
 オープニングから安っぽいアニメ仕立てで、映画全体の雰囲気も子供向け映画です。末っ子アランや仲間の子供の成長エピソードが中心で、まわりの大人たちは脇役です。ジェフやトレイシー兄弟も殆ど活躍の場面なしで、5号に閉じ込められて酸欠で失神して漂っているくらいですから。
 前半の油田のレスキューシーンが唯一のカタルシス。1号と2号のコンビネーションもばっちりです。あの線で進めて欲しかったですね。もし次回作があるならば、今度こそレスキューシーン満載でお願いしたいけれど、今作が当たらないと次回作の話も無いでしょう。
 悪役がまた、情けない連中ばかりです。フッド役のベン・キングズレーは、いい役者なんだけど、ちょっと今回は外してる感じ。TV版のフッドのような悪さが出ていません。何だか善良さが顔に出てしまって雰囲気が違いすぎます。一匹狼的な存在のフッドなのに(TV版では部下を使っても直接一緒に行動はしていなかったはず。)、頼りにならない部下と行動を共にしている。女の部下は何であんなに不細工な設定にしたのでしょうか? ペネロープと対比させる為かもしれません。
 TV版ペネロープは英国の上流階級という感じが全面に出ていて、おっとりした雰囲気が面白かったですが、新ペネロープは、パーカーと共にアクション全開で悪人と戦っちゃいます。パーカーの錠前破りの腕はオリジナルを踏襲しています。ペネロープ号が今回はフォード製で、全体が丸みを帯びたデザインに一新されました。ラジエターグリルのデザインは、もうちょっと格好よく出来なかったのでしょうか。あれでかなり安っぽく見えてしまいます。
 TV版ではTB機を写真に撮られるのをかなり警戒していましたが、本作ではTV中継で全世界に紹介されてます。あれだけ派手な事をするのですから、隠そうとするほうが無理ですが。
 ティンティンとペネロープの関係は、TV版ではちょっと微妙なバランスだったけれど、こちらは年齢差が結構あって、1号で出動の時など手を繋ぐほどの仲良しぶり。
 ティンティンがアランの次に大活躍しますが、何と言ってもフッド同様に超能力まで備わっているのには苦笑するしかありません。TV版の作品世界はどうでもいいようです。スーパーメカで科学万能の世界に警鐘を鳴らしていたTV版とは打って変わって、超能力者が二人も出てくるのですから。あの超能力がフッドの不気味さを醸し出していたのに、ティンティンまでそんな能力があってはいけません。あれはフッドの専売特許にして欲しいものです。
 ブレインズはいつの間に子供が出来たのでしょうか。妻というか子供のお母さんが出てきませんし。奥さんも天才だったのでしょうか。息子もしっかり血を受け継いでるようです。 それにしてもブレインズのどもりかた、もうちょっとうまく演出できなかったのでしょうか。あれではブレインズをバカにしているようです。
 ビル・パクストンのジェフは、まあまあでしょう。2号を操縦してレスキューにも出動しています。スコットが一番ハンサムかもしれません。とにかく今回はトレイシー兄弟がレスキューで活躍するシーンが殆ど無いのが残念です。
 各TBの操縦室はなかなか良い感じに仕上がってます。TV版よりも、操縦室らしさが出ています。レスキューメカを除くTBメカの仕上がり具合に比べて、ストーリーのお粗末さが残念です。
 最後にジェフが「直ちに出動します大統領」と返事をしていますが、人命救助が最大の目的であるはずの国際救助隊が、何やらアメリカの国家機関のひとつのような位置づけにもなりかねません。ジェフは莫大な費用を個人負担しているのに、国家の手先になっているように見えてしまいます。
 オリジナルファンとしては実写版1作目への評価は大変低いものにならざるをえません。もっとファンの期待に応えて欲しいものです。
 捕まったフッドたちが乗っていた潜水艦はどうなったのでしょうか。(トレイシー家が接収して、TB6号にするのはどうでしょう。)
 ラストクレジットにシルビア・アンダーソンへの謝辞が出ていました。キャラクター創作者としての位置づけでしょうが、ジェリー・アンダーソンのほうはどうかといいますと、特に無かったような気がします。いつも思うのですが、オリジナル版への貢献度はジェリーの方が遙かに高いと思います。二人が書いたそれぞれの自伝本を読むと、書かれていることの差に驚かされます。ジェリーは素晴らしい作品を世に送り続けましたが、商売上手ではなかった感じがします。

2004年9月2日(2回目鑑賞時)
 前売り券をコンビニで買った時、勢い余って2枚買ってしまったのでまた観てしまいました。二回目なのでさほどストレスにはなりませんでした。これはこれで有りなのかもしれません。もう少し何とかならなかったかという不満は残りますが。

 そして今回あらためてDVDで観直したところ、クラッシック版と比較しなければそこそこ鑑賞に堪えうる映画でした。ウィキペディアによれば、制作費5700万ドルに対して興行収入は半分の2828万ドルと不振に終わっています。これでは次回作を望めるはずもありません。まあ、そのおかげでファンの神経を逆なでする実写版を観なくて済むのですが。

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2009年3月 3日 (火)

アニマトロニクス

Photo  前回の記事にしました富士鑑定団の隣にはドンキホーテがあります。立ち寄ったところ、「チーム・アメリカ ワールドポリス(トレイ・パーカー監督 2004年)」のDVDが999円で販売されていたので購入しました。
 初めてこの映画を観ましたが、パペットの演技に目を瞠り(みはり)ました。特に顔の表情の豊かさには本当に驚かされます。
 メイキング映像によれば、パペットは180cmの人間を想定して1/3サイズの約60cmで作られたそうです。パペットの頭部には、サーボモーターやリンク機構など9個の装置が内蔵されています。女性の頭部は小さいので7個が内蔵され、体内に2個設置されているとか。これらの装置が眼球や目蓋、柔らかいラテックスの皮膚や唇を表情豊かに動かします。
 サンダーバードで使用されたパペットが、眼球の動きはワイヤー、唇は電磁石(リップシンク)で動かしていたことを考えると格段の進歩です。(参考:「イッツ・サンダーバード・センチュリー スーパーマリオネーション・スペシャル」大日本絵画)
 サンダーバードを見慣れた者からすると、パペットがここまで感情豊かに”演技”出来るのは大変な驚きです。もちろんサンダーバードも見事な操演でパペットに演技をさせていますし、見劣りするものではありません。逆に40年以上前にあれだけの作品を作り上げたことを賞賛したい程です。アニマトロニクスの元祖と言えそうです。
 映画「チーム・アメリカ~」の下品さは相当なものですが、色々問題視されているとはいえ某国のトップをテロリストの黒幕にしたり、実在のハリウッドスターを無許可で”出演”させたうえにとんでもない”演技”をさせるとは凄いものです。過剰すぎるおふざけが満載で、これはちょっとついていけないと思う場面もありましたが、正直な話とても面白かったです。
 パペットもさることながら、精巧に作られたセットや小道具も素晴らしい出来具合でした。手間隙かけて作られたにも関わらず、「何も残したくなかった」という監督の意向のせいか、テロや戦闘の爆発場面で木っ端微塵にされてしまったそうです。ウィキペディアによればこの映画の制作費は3000万ドルだとか。(1ドル120円としても36億円!!)これだけの資金があれば、どんなセットや小道具でも作れそうです。それにしても、このおバカな映画に36億円とは.....。

 パペットを使った映画が他にも出来たら観てみたいものです。以前「サンダーバード九州博物館」さんの掲示板で紹介されていた「Agent Crush」http://www.agentcrush.com/page.php?11はどうなったのでしょうか?

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2009年2月11日 (水)

”ともだち”の部屋

Photo  今日、「本格科学冒険映画 20世紀少年 第2章 最後の希望(堤幸彦監督)」を観ました。
 原作マンガは読んだ事がありませんが、1960年代に同じような少年期を過ごした者としては、当時の場面に懐かしい想いが溢れてきます。
 1969年と言えば、前年に映画「サンダーバード6号」が公開され、TVの再放送も終了し、サンダーバードの大ブームが終焉を迎えた頃です。また、今井科学が会社更生法を申請し、本社や工場、プラモデルの金型をバンダイに売却した頃でもあります。 参考:「サンダーバード プラモ&玩具博物館(伊藤秀明 編/著 ケイエスエス)」
 映画の中に何かサンダーバード関連の映像が出てこないものかと気になります。中盤にユースケ・サンタマリアさん演じるサダキヨが、女子高生を”ともだち博物館”に連れてくる場面があります。謎の人物”ともだち”の少年時代の家を忠実に再現した博物館の中には、当時の週刊漫画やおもちゃなどが展示されています。サダキヨが部屋の中央に立っているその前の方に、サンダーバード2号のプラモデルが吊ってあるのを見た時は、秘かに嬉しくなりました。
 この場面の写真を映画「20世紀少年 <第2章> 最後の希望」 公式サイトhttp://www.20thboys.com/の”作品情報”~”ストーリー”紹介ページで見ることができます。映画でも一瞬しか映りませんし、公式サイトの写真も小さいので、どのプラモデルか小生には判別できません。(ゼンマイ2号? 特大2号? 超特大2号? 等々....。)

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